こども基本法プロジェクト

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子どもの権利条約Convention on the Rights of the Child

子どもの権利条約とは?

子どもの権利条約は、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められました。18歳未満の子どもを「権利をもつ主体」と位置づけ、大人と同様、ひとりの人間としての人権を認めるとともに、成長の過程で特別な保護や配慮が必要な権利も定めています。

前文と54の条文で構成されており、正式には「児童の権利に関する条約(Convention on the Rights of the Child)」と言います。

戦争、難民、労働搾取、障害など、困難な状況にある子どもたちの権利を擁護する内容はもちろん、全ての子どもが健やかに育つために必要な「暴力から守られる権利(第19条)」や「休み、遊ぶ権利(第31条)」なども掲げられています。

【読んでみよう!「子どもの権利条約」第1〜40条】

※出典:「子どもの権利条約第1~40条 日本ユニセフ協会抄訳」 (公益財団法人日本ユニセフ協会)
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国際条約であるため、本条約に批准した国・地域は条約の定めに基づき、子どもの権利を実現するために自国内で関連の法律を作る、予算を確保する等、政策に取り組む必要があります。

子どもの権利条約の「4つの原則」

子どもの権利条約は全54条ですが、そのうち「一般原則」とされる条文が4つあり、これらをまとめて「4つの原則」と呼びます。
この「4つの原則」を基礎に、条約全体が効果的に実施されていくことが期待されています。

  • 生命、生存及び発達に対する権利(命を守られ成長できること) すべての子どもの命が守られ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されます。
  • 子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと) 子どもに関することが行われる時は、「その子どもにとって最もよいこと」を第一に考えます。
  • 子どもの意見の尊重(意見を表明し参加できること) 子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します。
  • 差別の禁止(差別のないこと) すべての子どもは、子ども自身や親の人種、性別、意見、障がい、経済状況などどんな理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障されます。
日本で制定されたこども基本法も、この「4つの原則」の趣旨を踏まえ規定されています。

子どもの権利条約に関する国際的な動き

子どもの権利条約が発効されたのは1990年ですが、そこまでの道のりはどういうものだったのでしょうか。
主な出来事を以下の表にまとめました。

1924年 「児童の権利に関するジュネーブ宣言」が国際連盟で採択
1945年 第二次世界大戦が終結し、国際連合が設立
1948年 「世界人権宣言」が国際連合で採択
1959年 「児童の権利に関する宣言」が国際連合で採択
1989年 「子どもの権利条約」が国際連合で採択
1990年 「子どもの権利条約」が発効

「人権」という考え方は18世紀頃には生まれていましたが、国際的な動きとして、初めて子どもの人権に言及されたのは1924年に国際連盟で採択されたジュネーブ宣言と言われています。
しかしながら、その後の第二次世界大戦では、大規模な人権侵害が生じる結果となりました。そこで、1945年の第二次世界大戦終結後、第二次世界大戦を防げなかった国際連盟の反省を踏まえ、国際連合が設立されます。

そして1948年、人権の保障、つまり、全ての人が生まれながらに基本的人権を持っていることを国際的に認めた「世界人権宣言」が採択されたのです。「世界人権宣言」は法的な効力は持ちませんが、この宣言を機に、社会で弱い立場に立たされている人々の基本的人権を守るため、法的拘束力のある「国際条約」の整備が進み始めます。

そのような流れの中で、1959年の「児童の権利に関する宣言」を経て、1978年にポーランド政府が子どもの権利条約の草案を提出。その後約10年という長い年月をかけて議論され、1989年、ついに、法的拘束力を持つ国際条約という形で「子どもの権利条約」が国連総会において採択されました(1990年発効)。

日本は、その5年後である1994年に158番目の締約国として「子どもの権利条約」に批准しました。2023年11月時点、日本を含む、世界196の国・地域が締約しています。

子どもの権利条約に関する日本の動き

1994年に子どもの権利条約を批准した日本ですが、その当時、日本政府は現行法で子どもの権利は守られているとの立場を取り、国内法の整備は行われませんでした。
その結果、日本では「児童福祉法」、「母子保健法」、「教育基本法」、「少年法」など、子どもに関わる個別の法律はあるものの、子どもを権利の主体として位置づけ、その権利を保障する総合的な法律が存在しない状況が長らく続いていたのです。

批准当時の首相国会答弁
【第126回国会本会議第20号(参議院、平成5年5月28日)の質疑より】
「この条約に定められておりますもろもろの権利につきまして、その内容の多くは我が国憲法を初めとする現行の国内法制で既に保障されているものと思いますが、しかし、この条約を締結することによりまして、法制度の面ばかりでなく、意識の面、行政の実態の面で一層努力をしていくべき契機にいたすべきものというふうに考えております。」

2019年には、国連子どもの権利委員会から「子どもの権利に関する包括的な法律を採択し、かつ国内法を条約の原則および規定と完全に調和させるための措置をとるよう、強く勧告」を受けた際も、その時点で日本政府に大きな動きは見られませんでした。

<国連子どもの権利委員会とは?>
日本を含め、子どもの権利条約の全ての締約国は、条約の履行状況に関する報告書を国連子どもの権利委員会に定期的に提出し、評価をもとに、勧告を受ける仕組みになっています。
今後も当該委員会の評価・勧告も踏まえた、取り組み強化が期待されるところです。

そのため、批准以来、日本国内では市民社会・学識者・法曹界・政治など、様々な関係者が包括的な国内法の制定を訴える活動を行ってきました(日本財団の取り組みについてはこちら)。

その間も、少子化・人口減少が進行し、児童虐待や不登校の件数が過去最多になるなど子どもを取り巻く状況が深刻化していく中で、社会の趨勢を踏まえ、日本政府によるこども施策が加速、2022年6月には、こども家庭庁設置法とともに、こども施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための包括的な基本法として「こども基本法」の制定・公布が実現しました。
そして、2023年4月、こども家庭庁の発足と同時に、ついにこども基本法が施行されました。

「こども基本法の施行について」
【令和5年4月1日付 こども家庭庁通知】
法制定の目的としては、これまで、こどもに関する各般の施策の充実に取り組んできたが、少子化の進行、人口減少に歯止めがかかっていない。また、児童虐待相談や不登校の件数が過去最多になるなど、こどもを取り巻く状況は深刻で、コロナ禍がそうした状況に拍車をかけている。常にこどもの最善の利益を第一に考え、こどもに関する取組や政策を我が国社会の真ん中に据えて、強力に進めていくことが急務となっている。
このため、こども家庭庁の設置と相まって、従来、諸法律に基づいて、国の関係省庁、地方自治体において進められてきた、こどもに関する様々な取組を講ずるに当たっての共通の基盤となるものとして、こども施策の基本理念や基本となる事項を明らかにすることにより、こども施策を社会全体で総合的かつ強力に実施していくための包括的な基本法として、制定された。

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